maruの徒然雑記帳
恋夢幻想〜8〜
「魔神器?」
聞き慣れないその名に大神は思わず聞き返した。
米田が重々しく頷く。
そして奥から取り出したケースを開き、その中を示した。
中から現れたのは三つの聖なる器。
大神は食い入るようにそれらを見つめた。そして、
「これが…」
そう、掠れた声で小さく呟く。米田が再び頷いた。
「あぁ、こいつが魔神器だ。剣・珠・鏡からなる三つの祭器。俺達の最後の切り札だ。こいつだけは何があろうと守りきらねばならねぇ。分かるな、大神」
鋭い眼差しが大神を射抜く。
表情を引き締め、大神もまた米田を見返した。
「はい、米田指令」
「いーぃ返事だ。よし、大神。こいつぁお前に任せた」
「えっ、まかせるって…。米田指令!?」
にやりと笑って米田は大神にケースを放った。大神は慌てて手を伸ばしそれを受け止める。
ほっと息をつく大神の上に米田の声が降ってきた。
「言葉どうりの意味さ。魔神器はお前達が守るんだ」
「お前達?」
「お前とあやめ君、二人でことにあたるんだ。あやめ君にはもう伝えてある。頼んだぞ、大神」
「あやめさんと二人で…」
「何か不満でもあるのか、大神」
にやにや笑う米田の顔を見て、彼が大神とあやめのことをすっかり見抜いているのだと気づく。
大神は苦く笑った。そしてー
「了解しました。魔神器は必ず守り抜いてみせます」
魔神器を大切に腕に抱き、大神は力強く答えた。
そんな大神を、米田は目を細め見つめた。
頼もしく成長した息子を見つめるかのようにー
戻る
トップへ戻る
Copyright©2015 maru-turedure All Rights Reserved.