maruの徒然雑記帳


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恋夢幻想〜7〜






 葵叉丹ー


 黒之巣会と共に滅したはずのあいつが生きていた。

 新たな敵の出現に帝都の短い平和は終わりを告げた。

 奴らの力は強大だ。以前とは比べ物にならないくらいに。


 だが俺は何の心配もしていない。

 俺達は…帝都花組は決して奴ら負けはしないと俺は信じている。

 だから、不安に思うことなど何もない。


 何もないはずなのに…なのになぜ俺はこんなにもおびえているのだろう?

 なぜこんなにも心が落ち着かないのか…。

 あの男の顔を思い出す。新年の鳥居の上からこちらを見下ろして冷たく笑ったその顔を見た時心が震えた。


 理由のつかない不安と恐れに。


 あいつの顔…。

 奴の顔に見覚えがあるような気がしてならなかった。

 美しく繊細なその怜悧な美貌を、俺は確かに見たことがあった。

 思い出そうとしても思い出せない、そのもどかしさに歯呀みをする。


 嫌な感じがした。

 とてつもなく嫌な予感が…。


 「葵…叉丹」


 不吉なその名を唇にのぼらせる。


 ーお前はいったい何者なんだ…


 その問いに答えるものは無い。

 俺の中に、あるはずの答えが見つからない。

 ゆっくりと、だが確実に歯車は回りはじめていた。

 俺の知らない遠い、遠いどこかで…。






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