maruの徒然雑記帳
花の名前〜17〜
深夜ー
ベッドに横たわる大神の隣にはなぜか下着姿のマリアが静かな寝息を立てていた。
何でこんなことになってしまったんだろうー暗闇の中、天井を見つめながら大神は今の状況を作り出したその原因について考えを巡らせる。
眠りにつくべき時間はとうに過ぎていたが、どうにも眠れそうにない。
それは決して昼間寝過ぎたという単純な理由からだけでなく、隣に眠る少女こそが大神の睡眠を妨げる最大の原因だった。
彼女はなんの屈託もなく健やかな眠りの中にいる。
純粋なのか、鈍感なのか、はたまた、ただ単に大神を異性として意識していないだけのことなのかー。
あるいは彼女が大神のことを信用してくれている、その表れなのかも知れないが。
なんだか複雑な心境だった。
嬉しいような、悔しいような、切ないような、なんだか笑い出してしまいたいような、そんな気持ち。
ずるいよなぁー声に出さず、大神はそんなことを思う。
自分はマリアを意識しすぎて眠れないでいるのに、彼女はまるで涼しい表情で眠っているのだから。
本当に君はずるいなー思いながら、大神は横目でマリアの寝顔を盗み見る。
眠る彼女の表情は年相応に幼く、あどけなく、そしてなんだか可愛らしい。
そんな可愛い寝顔を見せられたら、ずるいって怒ることも出来やしないではないか。
大神は口元を優しくほころばせ、それから再び天井を見上げた。
それからそっと目を閉じてみる。まだまだちっとも眠れそうにはなかったが。
そして自分に向けてもう一度同じ問いかけを行う。
どうしてこんなことになったのか?
答えを探し大神の思考は過去へとさかのぼる。
そう、ことの起こりは今からほんの少し前ー
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