maruの徒然雑記帳


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 リリカルなのは、なのはとフェイトのSSです。ほのぼのしてます。

 「星降る夢で逢いましょう」様の作品を読んでたら無性に書きたくなって一気に書きました(笑)

 短いし、フェイトちゃんの性格がやや崩壊してるかもしれませんが……もし気になるようでしたら読んでやって下さい。






なのはとフェイト






 フェイトちゃんが好き。

 アリサちゃんも、すずかちゃんも、ユーノ君の事も好きだけど、フェイトちゃんとはちょっと違う。

 皆への好きは友達の好き。

 だけど、フェイトちゃんへの好きは、少し違う気がするの。

 どうしよう。胸が苦しい。ドキドキしすぎて胸が痛いよ。もうすぐフェイトちゃんがここに来るのに、心配なんかさせたくないのに。こんなに苦しいままじゃ、きっと優しいフェイトちゃんに心配をかけちゃう。

 どうしたら治るのかな。どうしたら。

 そんな風に困って、どうにかしなきゃと一生懸命考えていたら。

 遠くから「なのは」って私の名前を呼ぶフェイトちゃんの声。大きな声じゃないのに、不思議と良く通る綺麗な声を聞いた瞬間、ドキドキは更に速さを増した。

 フェイトちゃんが走ってくる。いっぱいのキラキラした笑顔で。

 「フェイトちゃん!」

 私も大きな声で返して、手を振った。から元気だ。胸がいっぱいで苦しい。フェイトちゃんが好きすぎて苦しい。

 ―どうしたら、良くなるのかな。

 もう一度考える。でも、答えが出る前に、気が付けばフェイトちゃんはすぐ目の前まで来ていて。

 「なのは、久しぶりだね。逢いたかった」

 そう言って微笑む。私も精いっぱいの笑顔で、

 「うん。久しぶり。私も逢いたかったの」

 そう返した。

 すると、走ったせいなのか私の言葉のせいなのか……フェイトちゃんのすべすべのほっぺたがほんのり紅く色づくのが分かった。

 綺麗だなー素直にそう思う。触れてみたいと思った。手じゃなく、唇で。まだ子供なんだからそんなことしちゃダメって思うのに、触れたい気持ちはどんどん膨らんで。

 「……ねぇ、フェイトちゃん。フェイトちゃんのほっぺ、触ってもいい?」

 気が付いたらそう口に出して言っていた。

 しまった!−と思ったけどもう遅い。フェイトちゃんは綺麗な紅い瞳をまん丸くして、でもそのあと少し笑っていいよって言ってくれた。

 「どうぞ?」

 笑みを含んだ声でそう言って、右の頬を差し出してくる。

 私は息をのみ、それから意を決して彼女の頬に唇を寄せた。



 リビングのソファーに深く腰掛けたまま、フェイトはふと思い出した初めてのキスの記憶に思わず微笑みを浮かべていた。

 ―あの時のなのはは可愛かったな……猛烈に。



 あの日、びっくりして思わず、

 「今のって……キス?」

 と、馬鹿正直に聞いてしまった幼き日のフェイトに対して、返ってきた幼き日のなのはの答えがまた傑作だった。

 目を泳がせて、真っ赤な顔をして、彼女は言ったのだ。

 「む、虫でも止まったんじゃないかな?すっごく、すっごーく大きな虫!」

 にゃはは……といつもの様にものすごく可愛く笑いながら。



 ―虫って……にゃははって……ちっちゃいなのは、恐るべし。なのは、私を萌え死にさせる気?

 小さい頃のなのはにそんなつもりはみじんも無かった事は明らかだが、そんな事はお構いなしにフェイトは静かに悶える。

 そしてしばらくその記憶を反芻し、思う存分萌え悶えた後、ふと気が付けば目の前には大きくなったなのはがいた。

 なんだか可哀想なものを見る目で見られたと感じるのは、勘違いではないに違いない。

 「えっと……」

 「フェイトちゃん、あんまり一人でくねくねしてると、変な人だって思われるから、気を付けた方がいいよ?」

 何とか取り繕おうと口火を切った瞬間に、何とも生暖かいアドバイスを頂いてしまった。

 フェイトは素直に反省する。

 ―こんな事でなのはが私を嫌いになるはずはない(と思いたい)けど、気をつけなきゃ。

 「えっと、ごめん。何だか昔の事を思い出してたら、懐かしくて」

 何となく言い訳めいたフォローもしてみた。

 「え?昔の事?何を思い出してたの?」

 何気ないフォローになのはは意外に食いついてくれる。

 なのはは覚えているだろうか。幼い日の二人の甘酸っぱいキスの思い出。よく考えれば、唇同士ではないにしろ、あれは二人のファーストキスだったと言っても過言は無い!……と思う。

 フェイトは確かめてみたくなって、

 「私たちの初めてのキスの事。なのは、覚えてる?」

 そう言うと、なのはは色っぽくも可愛らしく頬を染めた。

 「もちろん覚えてるよ。中学の時、だよね」

 ああ。確かに唇同士のキスはその頃だった。うっとりと思い出しかけて、ハッとする。いけない!今、問題にしてるのはその時のキスじゃなかった。

 「うーん。それも正解なんだけど、もっと昔の。……覚えてない?」

 「えっっ?もっと昔??うーん。そんなに小さい頃にしたっけ??えーっと……」

 どうやらあの時の可愛らしいキスはなのはの記憶から抹消されてしまったようだ。

 ならば、とフェイトはいたずらっぽく笑って少し身を乗り出した。

 「ねえ、なのは。ほっぺに触ってもいい?」

 「へ??う、うん。いいけど」

 突然の申し出に面食らったような顔をしながらも、「はい」と素直に右頬を差し出すなのは。

 素直で可愛いなぁと思いながら、フェイトは目を閉じて、その柔らかな頬にキスをした。

 「えっ?なに?キス?」

 何年付き合っていても初々しい反応で返してくれるなのはの可愛らしさにほっこり胸を温かくしつつ、フェイトはにっこり笑って、

 「ちがうよ。虫が止まったんだよ。すごーく大きな虫」

 爆弾を投下した。

 しばしの沈黙。

 フェイトの与えたキーワードの記憶が浮上してきたのだろう。なのはの綺麗な顔がぼんっと一気に真っ赤に染まった。

 「にゃーーーーー!!!!」

 と悲鳴。ついで、

 「フェイトちゃんのばかばかばかばかーーーっ!なんでそんな事覚えてるの?早く忘れてーー!!」

 フェイトの胸を拳でバシバシ叩きながら、訴えるなのは。

 そんななのはが可愛すぎて、フェイトはもうメロメロだ。腕を回してぎゅーっとなのはを抱きしめ、

 「大事な思い出だけど、いいよ。なのはがそういうなら忘れても。その代わり……」

 「その代わり?」

 見上げてくるなのはの瞳は涙に潤んでいて何とも色っぽい。フェイトは彼女の瞳を覗き込み、

 「その代わり、すっごくHなキスをしてね?思わず昔の可愛いキスを忘れちゃうくらいの」

 にっこり笑って言うと、これ以上赤くなりようがないと思っていたなのはの顔が更に赤くなった。

 なのは、顔が真っ赤だよーそう指摘すると、彼女はフェイトの胸に顔を隠すように埋め、ちっちゃな声で、

 「フェイトちゃんの、えっち」

 そう言った。



   それからどうなったか?それは、なのはとフェイト、2人だけの……ひ・み・つ。



 おしまい

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