maruの徒然雑記帳
恋夢幻想〜39〜
「大神君て、笑うとなんだか可愛くなるのね」
唐突に彼女が言った。びっくりして彼女を見返す。
「もしかして、今、俺、ほめられたんですか?」
そんな俺の言葉に今度はあやめさんが驚いたように目を見張る。
「あら、そう聞こえなかった?可愛いってほめ言葉でしょう?」
「男に可愛いはほめ言葉じゃないですよ」
「そうだったかしら」
そう言って、彼女は笑った。
その笑顔につられて俺も笑ってしまう。
そんな俺を見ながら、彼女は目を細めた。愛おしそうに、慈しむように。
「でもね、私は好きよ。あなたのそんな笑い顔。あなたが笑うと私も幸せな気持ちになるの」
それはまだ幸せだった頃の記憶。
何よりも愛しくて切ない、そんな思い出。
彼女がいて、俺がいて、二人で優しく笑いあうーそんな他愛のない穏やかな時間が、今はただ、懐かしいー
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