maruの徒然雑記帳


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恋夢幻想〜23〜






 暗闇に、男が一人いた。

 邪悪なまでに美しい存在ーその男の名は葵叉丹。

 聖魔城を復活させ、帝都を混乱の渦に陥れた張本人だった。


 「とうとう来たなー帝国歌撃団」


 形のいい唇をゆがませて冷たく笑う。

 その瞳はここではないどこかを見つめ、興味深そうに細められていた。

 彼が見ているのは一人の男。

 かつての彼がそうであったように、人を信じ、なんの得にもならない戦いにその身を投じる男。

 大神一郎。


 ーお前はなにを信じ、戦っているのだ?


 言葉に出さず、問いかける。

 答えが返ってこないことなど分かっていた。

 だが知りたかった。

 あの迷いのないひたむきな瞳がいったいなにを見つめているのかーただ知りたいと思ったのだ。

 なぜ、そんなことを思ったのかは分からない。

 自分でも理解できない感情だった。

 もしかしたらただの好奇心にすぎないのかも知れないし、あるいはただあざ笑ってやりたいだけなのかも知れない。

 お前が見ているものなど幻想にすぎないのだ、と。

 叉丹は小さく笑った。自らを嘲るように。

 しかし、それも一瞬のこと。

 再びその瞳が怪しく輝き、その唇が言葉を紡いだ。


 「お前にさらなる地獄を見せてやろう、大神一郎。お前がいかに無力でちっぽけな存在かいやと言うほど思い知らせてやる。だから早く来い、大神一郎。早く来て、この私をもっと楽しませて見ろ」


 暗黒の闇に哄笑が響き渡る。

 それは、まるで、開幕を知らせる合図のように…






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